日本のライブコマースは夜中の何時か – 中国ライブコマースを遠目に眺めながら

盛り上がる中国のライブコマース 日本ではどこまで普及してる?

市場規模6.4兆円!中国はライブコマースの超先進国!!

ShopifyとTikTokの提携に日本でも展開されるニュースリリースが発表された。TikTok動画から直接商品を購入できるようになるのかどうかが気になる点だが、果たしてこれで日本におけるライブコマースはどれだけ時計の針が進むことになるだろうか。正直、日本のライブコマースは今もまだ真夜中だ。つまりは始まってすらいない。

この調子だとTikTokかInstagramか、既存のプラットフォームにライブコマース機能が追加されてブレイクするかどうかという感じだが、中国ではライブコマース専用のプラットフォームが巨大な市場を形成している。

淘宝(タオバオ)でウィッグ・CD・車・マンションをライブコマースしている様子

中国では、アリババが提供する淘宝(タオバオ)を中心に、ライブコマース市場は2019年に約4,300億元(約6.4兆円)規模になっている。

日本ではまだ真夜中にあるライブコマースが中国でここまで確立された市場になっている理由に文化的な文脈があると言われている。中国ではそもそも販売されている商品に対して信用度が低いそうだ。そのため、KOLと呼ばれるインフルエンサーという”人”を通じて「この人が紹介するものなら安心して買える」という図式でライブコマースが成立しているようだ。日本でライブコマースが中国ほどスポットが当たらない理由がここにある。僕たちが普段商品を購入する時に「本当にこの商品は記載されている成分が入っているだろうか」とか「偽物じゃないだろうか」などといちいち疑わない。つまり商品への信用度が高いという点で文脈が異なるとされる。

しかし、中国にはインフルエンサー主体のライブコマースと店舗主体のライブコマースの2種類があるとされており、日本でのライブコマース展開は後者の店舗主体が鍵を握っていると思われる。

そう考えるとInstagramとShopifyの組み合わせによるライブコマース展開が日本では普及しそうな気がする。すでに『北欧、暮らしの道具店』ではインスタライブで商品の使い方説明を展開したり、ライブコマースの一歩手前の施策を展開している。

Image from : https://hokuohkurashi.com/note/144753

InstagramのShopNow機能では既存ECサイトへ誘導するだけで、ログイン情報や決済情報をブラウザやアプリから引き継げるわけではないのでひと手間かかる。クレジットカード情報など決済情報を保有することができればライブ配信からダイレクトに購入まで2タップくらいで到達できるだろう。

日本で普及しそうなのはこうした店舗主体のライブコマースがメインボリュームになると思うが、アイテム数が多くて選別に悩むジャンルに関してはインフルエンサー主体のライブコマースも十分な市場があるように思う。そう思わせたのが公開から2日で250万回再生されている指原莉乃のメイク動画である。

この動画を見て指原莉乃が紹介したコスメ、買いたくなった人はめちゃくちゃいるんじゃないだろうか?それくらいの説得力が彼女の言葉にはあった。コスメはアイテム数が非常に多くて、どれがいいのか・自分に合っているのか判断に悩むジャンルだと思う。仮にこの動画がライブ配信でライブコマース機能がついていたらものすごい売上を達成したのではないだろうか?そういう意味で特定のジャンルに対する信頼度の高い人物によるライブコマースは日本でも十分に市場があるように思う。

自分の業界でいえばおすすめのビジネス書を紹介するなど、書籍も業界との掛け合わせによりライブコマースには可能性があるように思う。少なくとも自分なら数冊ポチってしまうかもしれない。

2021年、どこかのプラットフォームでライブコマースが静かに夜明けを迎えることを期待している。